Have you heard, Pat Metheny guitar solo  パットメセニーのサウンドエッセンスが詰まったギターソロに挑戦しよう

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Have you heard, Pat Metheny guitar solo 典型的なジャズのマイナーブルース進行にどうやってソロのアプローチをしているか?

今回はギターのお話です。全く興味のない方はページを閉じてくださいねw かなりマニアックな話で、ギターのアドリブの方法論についての話。

まずは音源ということで、さっそく挙げておきますね。それが以下。

 

Have you heard, Pat Metheny guitar solo

 

んで、上に挙げたのは、知らないオジサンが完全コピーしている動画です。他にも完全コピーして動画を挙げられているものはありますが、ポジションとかフィンガリングがわりと綺麗にまとまっていると感じたのでリンクしました。

楽曲のテーマはすっ飛ばして、いきなりアドリブ部分だけを演奏しているヤツですね。オリジナルの音源も合わせて聴き込むと、細かいニュアンスの違いが分かるはずです。

率直に言って、「すごく上手い!!」 と思います。これ、ここまできれいにコピーしようと思ったらめちゃくちゃハードですよw おっちゃんは涼しい顔して弾いてますが、タイムの取り方も難しいと感じます。

僕にはパッと聴き流した程度では絶対に音が取れません(泣)何十回と繰り返して聴いても無理です。(というか実際に数えきれないぐらい聴いています)

それでもスピードを落とさないと音程が聴き取れないし、指がついていきません。

また、インテンポであれ、またダウンテンポにおいてフレーズが聴きとれたとして、そのアドリブフレージングから感じるコード感(色彩感)が、これまた馴染みのないものなので、合っている(インサイド)ものなのか、合ってない(アウトサイド)ものなのか・・・感覚的に分かりずらい面もあります。

原曲のスピードで聴くとまったく違和感のないフレージングに聴こえますが、テンポを落として細かいところを見ていくとメチャメチャ変てこりんなライン(フレーズの流れのこと)だと感じますね。

僕にとっては「ものすごく音程がとりにくい」フレーズです(泣)

アドリブ部分の構成はどうなっている?

まずはアドリブ部分の構成を掴みます。これがどうなってるか? 把握できないと 「何をやってるか?」 さっぱり理解不能となりますので、しっかり確認しましょう。

コード進行がどうやっても分からない方は、以下の動画を参考にすると良いでしょう。

 

Pat Metheny Have You Heard Solo with Onscreen Tab

 

ちなみになんですが、こういったギターのコピー動画は、プレイヤーによってフィンガリングやポジションの取り方がマチマチなんで、どうしてもパットメセニーと全く同じフィンガリング、ポジション取りを望むならば、メセニー本人がプレイしている動画を丹念にチェックするしか方法がありません。

さて、アドリブ部の構成についてですが、基本は Cm キーの12小節ブルース形式となっています。コーラスの途中で一部、ブルース進行とは「関係ないコード進行」が入りますが、個人的には「そこはあまり重要視しなくてよい」と思っています。

重視すべきは、あくまで12小節で完結する、いわゆる「ワンコーラス」と呼ばれる部分です。これが何回か繰り返されてアドリブパートとして構成されていると考えていい。

んで、もっともシンプルなコードで進行を書くと次になります。

Cm で4小節、Fm で2小節、Cm 2小節、A♭7 1小節、G7 1小節、Cm で2小節・・・以上12小節で以後この繰り返し。

あ、このソロパート、途中で半音上がって転調してますからねw ずーっと同じってわけじゃないですよ (笑)

摩訶不思議なソロライン・・・メセニーはどんなコードを想定して弾いているのか?

さて肝心のメセニーの弾くギターソロ。これをどうやって分析すればいいか? まあ、着目というか着眼点はプレイヤーによっていろいろあるとは思いますが、僕は「仮想コード進行」に注目してソロを考えてみたい。

まず一般論を述べると以下のような分析方法があります。

コードの主音(一般的にはルート音)に対して、何度の音が使われているか? つまり フレーズに使われている音の「主音とのインターバル」をすべて書いていく。

つぎにリズム。どういう音型で音がつながっているか?

フレージングにおいてポイントとなる箇所はどこか? これは強拍と弱拍においての音の選び方といっていいです。

つまりフレーズの主役となる音と、いわば脇役とでもいうべき音をはっきりさせるのです。

プレイヤーによっては「使われてるスケール」に注目する人がいるかもしれません。まあ、それはそれでアリなのかとは思うけど、スケール主体で考えるとあんまり幅が広がらないと僕は思うのですよ。

それよりも 「仮想コードのコードトーンの連結」 として見た方が応用が効くはず。

え? なんでスケールチックに考えずにコードトーンとして考えるかって?

それは、メセニー自身が自身の音楽について語っている言葉があるからなんですね。彼は 「僕はいつだって綺麗に響く三和音を意識している」 と語っているからです。

つまりコードスケールとか、代理コードのコードスケールとしては考えず、常に今聴こえているコードサウンドに綺麗に響く音を選択しているというような意味のことを言ってるんですよ。

この発言は、「あなた(パットのこと)の作る音楽は複雑で難しい」 と言われたことに対する答えらしい。

ジャズでは拍を基本にコードチェンジしている

いろいろなブルース形式の音楽を聴き込むと、細かい差異はあれど、どれもトニック、サブドミナント、そしてドミナントで構成されていることが体感的にも、また理論の上でも理解できるようになってきます。

んで、ロックでは8ビート、もしくは16ビート、またジャズでは4ビートの拍を感じるわけですよね。話をジャズに限定すると、これはもう4ビートなわけで、ジャズにおける拍とコードというのは、基本的には完全一致なわけですよ。これ、分かりますかね?

極端に言うと、ワンビート・・・1拍に対してコードが付くわけ。まあ、楽曲のテンポによっては「細かすぎる」場合もあるのですが、その気になればそういうふうにできて、仮想コード(代理コードともいえる)の細かいコード進行を想定できるのです。

一般的には2拍で一つのコードサウンド、ゆっくりのテンポだと1拍に付き一つのコードサウンドを付けるって感じでしょうか。

んで、アドリブで何を弾こうか? って考えた場合に、その仮想コード進行に基づいて、コードトーンをつなぐという意識でソロラインを作っていくのですよ。

これは、スケール的アプローチとは全然違うアプローチなのですね。意味が分かりますか?

どちらかというと、ヴァーティカルスタイル と言われるもので、コードの響きにぴったりと食いついていくスタイルなんです。(と、僕は感じています)聴く人によっては、また違う印象を持つかもしれないですけどねw

ついでなんですが、その対極にある方法論としてあるのが「モード奏法」ですね。この両者をイメージの対立概念で表現すると、垂直と水平になります。

ハーモニーというのを縦で見るか、あるいは水平に見るか? といった違いです。

さて、話をここで取り上げてる楽曲・・・Have you heard に戻しますと、コード進行は本当にシンプルなのですが、おそらくパットメセニーは「細かい仮想コード」を頭の中で聴きながらソロを組み立てているはず。

結果的にはスケールっぽくなっていても、その即興プロセスが単にスケールを弾くという感じではないのですね。そして、もちろんモードでもない。

この楽曲、コピーするのは大変難しいのですが、僕自身、少しコピーをやってみて 「こりゃ、フレーズだけ覚えてもダメだわ」 って感じたからコレ書いてるんですけどねw

ギターのアドリブが豊かになるかどうか? ってのは、あるコードサウンドに対して、「どれだけ響きのイメージを広げられるか?」 これがポイントだと思います。

Cm のコードサウンドを聴いて、その使われてる音・・・つまり、いま聴こえているコードトーンしか聴こえない・・・ってのは、やっぱりミュージシャン、プレイヤーとしては相当マズイなぁ。。と感じます。

聴こえていない音を(頭の中で)聴くって言うと「なんか変だ」と感じるでしょうけど、特にジャズにおいては、ほとんどのプレイヤーが意識的にしろ無意識にしろ、やってるはずです。

あの単純なブルースコード進行で、多彩なアドリブを繰り出すには、相当な訓練が必要ですね。しかも自然に歌えるように弾けるようになるにはねw

たったワンコーラスだけれども、コピーしてみて感じたことでした。以上おわり。

あ、終わりにですね、一言なんですが・・・

うえに挙げた解説動画の二番目にはタブ譜が付いてます。これを追っていけば音は拾えますが・・・僕はあまりこういうやり方はおすすめしません。

できればしっかり聴き込んで耳で音を判断させましょう。指の動きだけを覚えたってダメです。

一番大事なことは、「頭の中で聴こえる音を指の動きに伝える」ということです。

つまり頭の中で「感覚として音の響きを把握している」・・・んで、それに沿って音をつないでいくと。

考えても見れば分かることなんですが、響きがつかめていないのにフレーズなんか弾けるわけないんですよW

追記 アドリブパートの「ベースラインの取り方」について

さて、わりかし重要なことなんですけどね、バンドアンサンブルにおける役割分担といいましょうか、まあ基本中の基本のはなしね。

メセニーのアドリブ中のベースラインってオーソドックスというか、基本的ブルースコード進行のルート音を中心に「あんまり動かない」っていう感じがしますよね。

これにはちゃんとした理由があります。それは・・・

楽曲の基本的骨組みを的確に表現する

という理由によると考えます。つまりですね、ギターがクロマチックな動きを多用するもんだから、調性というか色彩感が出にくいわけですよ。

それをベースがしっかりとトーナリティーを確保してギターが飛び回って「調性感が希薄となるところ」をサウンド全体として補っているわけですね。

逆に言うと・・・ベースソロなどの場合は、ギターは逆の立場となって基本的ハーモニーの流れを補ってやるわけだ。

んで、話を元に戻すと、パットのアドリブ中はベースはホントに基本的なことしかやっていない。ウォーキングベースというよりはルートと5度でしっかりとコード感をキープしてるっていう感じかな。

アンサンブルにおいては、こういった目配りも結構重要だと思うね。

 

 

 

 

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