音の重力ってなんなの?
説明がちょっと難しいな。なにか和音が鳴っているとき、その和音の中心を感じる力とでも言えばいいのか?
それって一番低い音じゃないないの?
違う!! 和音の最低音がいつも中心音とは限らないぞ
和音の安定感というのは何が要因となってそう感じるのか?
さて、一般的なコードに対する知識はいったん置いておいて、ここでは特に、音を垂直に重ねた時の感覚について書いてみたい。
つまり、コード進行やら(ケーデンス、カデンツ)、機能的な和音のつながりの話ではなくて、単純に音程の異なる音を同時に積み重ねることを指します。
通常の和音とは基音となる音の低次倍音を同時に響かせたものである。
和音についての定義というか、一般的な解釈でいうところの和音とは、基音となる音の低次倍音を同時に響かせたものであるという考え方があります。
感覚的にいうと、たとえば C ドミソ ですよね。これピアノでもギターでも 「ばーん」 って誰でも鳴らします。
おそらく(控えめに言っても)だれが聴いても、「決して不協和には聴こえない」 と思います。
んで、ここで 「何が起きているか?」 というと・・・
それぞれの音、ドミソ なんですが、これが、またそれぞれ倍音をかすかに鳴らしています。基音のCだけではなくて、三度で積まれた E,G もまた倍音を出している。
倍音というのは基音がなんであれ、各倍音の音程関係は維持されます。んで、ドミソの場合の倍音関係をちょっと整理してみます。
ここで、C.E.G それぞれが持つ低次倍音を比較してみます。
1、C には E,G がある。(含む)
2、E には C,G がない、(含まない)
3、G には、C,E がない。(含まない)
よって、支配的な音は C である。
つまり、この三つの音を同時に鳴らしたときには、C音を中心とした安定した響きになる。これは音構成を展開しても同じ。3度や5度をルートに持ってきても支配的な音というのは変わらない。一番低い音を重心として安定しているわけではないです。
なお、低次倍音ってのは別に決まってるものじゃないです。比較して 「より高い、もしくは より低い」 ってだけで、n次の 範囲を決めるのは恣意的です。
ある基音の倍音列に他の基音がいくつ含まれているか?
ピッチの異なる音を適当に鳴らしたときに、支配的となる音が決まる原理は次のようになります。
同時に鳴らした音の「それぞれの低次の倍音」を比較したとき、どの音が一番ほかの基音をたくさん含んでいるか? そして、より多く「他の同時に鳴らした音」を倍音に含んでいるその音が和音の中で「支配的立場」となる。
たとえば C と F これを同時に鳴らしたときにどう感じるか?
この場合、Fの3次倍音にCがあります。しかしCの倍音列にはFがありません。なのでC音はFに含まれることになり、Fが主、Cが属という関係になります。
これを例えば、F音をオクターブ上げて、C音を基音として考えるとFは完全4度上の音となり、SUS4,もしくは11th として考えるわけですけど、上に挙げた物理特性から言うと、サウンドの重心は高い方のFにあり、重心と音高が一致せずに転倒していることになります。
実際のサウンド例としては、4度堆積和音 というのがよく使われます。なんとも不思議な感覚のサウンドですが、おそらくどこかで耳にしているサウンドですね。
コンテンポラリージャズでよくある。
明確なベース音がないので、浮遊感のあるサウンドとなります。どうしてフワフワした感じに聴こえるのかというと、ちゃんとした物理特性、音響特性による科学的裏付けがあるわけですね。
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