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熟成肉について 正しい知識とJAS法

   

牛

2016年1月時点では熟成肉の表示に法的根拠はまったくありません。

熟成肉の情報が氾濫しています。定義が定まっていない状況のなかで言葉が独り歩きし、消費者をあざむくケースも出る可能性があります。

現時点で知りえることを正確にお伝えしたいと思います。

熟成肉 JAS認定にむけての動き

まず現状を知るために以下の記事にアクセスしてみてください。

 

日本農業新聞 e農ネット - 熟成肉に統一ルール 製法定めJAS認定 農水省検討 日本農業新聞 e農ネット – 熟成肉に統一ルール 製法定めJAS認定 農水省検討 

熟成肉というものが、まだ法的に規制されていない現状が分かります。そもそも熟成肉とはヨーロッパなどで伝統的に行われてきた食肉の保存方法であり、販売することを目的に考え出されたものではありません。

狩猟で生活する上での生活の知恵でした。経験的に培われてきた食肉保存の技術を科学的にアプローチしたものが 現在 熟成肉といわれるようになって注目されるようになっただけです。

”自分たちが仕留めた獲物を いかに腐らせずに おいしく食べること ができるか?”

そういう発想から生まれたものです。

なぜJAS法で規制しなければならないのか。その背景について

食肉に限らず食品業界全般においては事件や事故が多発しています。それは・・

「いかに安いものを高く売るか?」 という発想から出発することが多いです。直近の事例では廃棄カツの横流し販売、古くはミートホープ事件、あるいは中国における得体のしれない下水油など。

要は 「タダのものを売る」 ということなんですが、牛肉においては 腐ったもの 賞味期限がきたものを 熟成肉 だといって売る行為が頻発するだろうという危惧から規制の声が挙がっている背景があります。

食中毒は非常に危険なものがあることはご存知でしょう。少し前に規制された牛肉の生食。これは死亡事件があってからすぐに禁止になりました。レバー刺身もその影響からか禁止になっています。

あと、ユッケ とか 牛肉のたたき なども許可制となって面倒な条件をクリアしないと販売できなくなっています。

このように消費者の安全を守る意味からJAS法で規制しようとする動きが出ています。

現在 日本で流通している牛肉はほぼすべてがウェットエイジングされた牛肉である

牛肉のエイジングには二通りの方法があります。

  • 1、ドライエイジング
  • 2、ウェットエイジング

今現在 JAS法で規制しようとしているのは ドライエイジング についてです。

牛肉は真空包装をしないで普通の冷蔵庫に置いておくと、すぐに酸化しはじめます。温度は0度、いわゆる氷温 チルド状態だとします。表面がまず乾きはじめ、次第に水分が飛んでいきます。本当にカリカリになっていきます。

またカビも発生します。ウェブでいくつか検索すると写真も見れますが、とてもまともな食肉には見えません。精肉にする段階で表面をすべてトリミングします。

ドライエイジングには温度と湿度の基準があって、それをクリアするために設備を整える必要があります。仮にそういう整調機器が整備されていない環境下で放置されたものを熟成肉として食べると健康に影響がでる恐れがあります。

このあたりの統一基準をきっちり科学的に裏付けをとって規制しようというのが上で述べたJAS法です。

ウェットエイジングは文字通り 水分を含んだ状態で寝かせることを指します。

今現在、日本で流通しているお肉というのは、ほとんどが真空包装された箱詰めの姿で運ばれています。部位別に分けられて冷蔵トラックで運ばれます。

真空包装といっても ただ空気を抜いた状態を指すものではありません。特殊な袋を使って いったん80度のお湯に瞬間的に漬けているのです。そしてすぐに冷水に漬けられて冷やされます。

この包装の仕方にはふたつ意味があります。

ひとつは表面を殺菌する作用、もうひとつは肉をぎゅっと引き締める効果です。ただたんにエアーを抜いただけですと ドリップ 肉汁 が出てきて大変汚くなります。

こういった処理をされたお肉はかなりの日数で日持ちがします。だいたい1か月は消費期限が設定されているはずです。この期限設定は加工業者が責任をとれる範囲で自由に決めることができます。

法的な制限はありません。ただし事故が起きた場合に備えて加工業者は食品検査機関などに 「どれくらい日持ちするのか」 検査に出しています。安全性に対して担保をとるわけです。

こうした牛肉の物流を理解したうえで、その加工された日から精肉にされて実際に食べるまでの期間をみるとエイジングされていると理解していいです。だから 日本の牛肉はほぼすべてウェットエイジングされていると言えるのです。

そもそも牛を屠殺してすぐに食べるなんて不可能なんです。枝肉状態にしてから最低でも一晩は冷蔵庫に寝かせないと捌けませんし、枝肉を解体工場へ運ぶにも時間はかかります。また、販売するにしても牛まるごと売れるのにある程度時間もかかります。

販売者は消費者に対して 「どれくらい寝かせた牛なのか」 については情報を開示する義務はありませんから我々は知ることはできません。ただ店頭で買う場合には、ある程度時間が経過していると理解してください。

牛肉は新鮮なものほど良いわけではないことも確かです。明らかなのは新鮮なほど日持ちがするというだけで、それがおいしさの目安になることはありません。

まとめ

熟成肉を謳っているお店には注意してください。今はまだ法的整備がされていません。通常 店頭に並んでいる牛肉は ある程度時間が経っており、そのほとんどがウェットエイジングされた牛肉であることを理解してください。

ドライエイジングを独自で行っているお店はありますが、製法に関してはそのお店独自のものであり、安全性が担保されているわけではないことに注意してください。

 

 

 

 

 

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