「ギターを弾くときの条件を制約してみる」果たしてその意味とは?
この記事では「アドリブ、即興演奏の能力向上」を主題として記事を書いています。
ギター演奏の経験のない方には理解しにくい内容ではないかと思いますが、なにかのヒントにでもなればいいっすねw
あなたはパターンプレイをしていないか?
僕の記憶違いでなければなんですが・・・世界的な、著名ギタリスト ジョンアバークロンビー が、かつて話した
「ギターの練習方法」
それは、「1本弦奏法」 です(笑)
あまり人気のあるギタリストではなかったと思われるので、知らない方も多いかもしれません。アメリカのジャズギタリストですね。
この、1本弦練習法・・・かなり僕風にアレンジして書いていますが、文意は伝わると思う。
ギターは通常 6本 弦があるから、どんな風にでも弾くことはできる。これをちょっと不自由にして、(みずから制約をかけて1本弦だけで)弾いてみるとしましょう。
するとなにが起こるか?
まず、指が覚えている「パターン」では演奏できなくなる。つまり、一つの音を出した後、つぎにどうするか? っていうことを意識せざるを得なくなる。
それってどうゆーこと?
通常のケースでは、コード進行にしたがって即興的にメロディを創って、それをつないでいきます。
その時に条件を制約しないと、ついつい「パターン化された音」を弾いてしまうわけで。んで、言い換えると
「つぎに選択しようとしているサウンドが自分の頭の中で聴こえていないにもかかわらず」、指が覚えているがために、無意識に音を選んでしまっている・・
という状況になっているわけです。
それのどこがダメなんだよ?
俗に、スラスラとたくさん音を使ってフレットボードを縦横無尽に弾きまくることが「ギターが超上手い!!」と言われるフシもありますが、音楽的な意味でのうまさというのとは、意味合いが少し違うと僕は思うのですね。
この場合は、音楽的な意味での巧さというよりは、フィジカルな意味での楽器演奏能力の巧さです。
音選びのセンスではなくって、技術的な熟練度という意味でw
ギターにおける1本弦を使った具体的な練習方法
たとえば、マイナスワンなどのバッキングサウンド、音源をユーチューブなどから探します。んで、その音源を流しながら、自分のギターで適当にどこか押さえて音を出してみる。
この時に使う弦はどれでもいいのですが、どれかひとつ選んでおきます。すると、バックで鳴っているサウンドと合っているかどうか? は、瞬時に感覚的に分かると思います。
んで、「ん? あれ? はずれてるな」 と感じれば、半音、もしくは1音、上か下にずらしてみます。
ハマっていない音・・・これは、音楽理論的にいうと「アプローチノート」ということになって、コードにも含まれていないし、テンションノートでもない、分類上は「ノンコードトーン」と言って、経過音(パッシングトーン)を使った手法になるわけですが、そういうのを感覚的に見つけていくわけです。
教則譜面の丸写しではなくて、自分の感性で探る感覚です。
まあ、音楽理論は極端に言うと「どうでもいい」のです。プレイヤーとしてミュージシャンとして一番大切なのは 感性、センスなので、音楽理論的にワケが分からない音でも「それがその場に(そのタイミングで)鳴らすことが最高にクールに感じるならばそれでいいのですよ。
注・・ハマって聴こえる音というのは、たいていの場合、バッキングサウンドのコードトーンです。もしくはテンションノート。
ただしテンションノートは 若干、不安定に感じるケースもある。このあたりの感覚は個人差もけっこうあるので、あくまでも自分の感覚でどう感じるか? ってとこを大事にして、音程差から感じる感覚をじっくり味わって欲しい。
というわけで 1本弦奏法(笑)の利点というのは、パターン奏法、スケールの羅列から逃れて、本質的なメロディへの洞察を得る方法としては有用かつ有益なんですよね。
あ、追記なんですけど・・・
それはチューニングです。音源とギターはぴったり同じピッチで合わせておくこと。当たり前のことなんですけど、たとえば音源の A音 が 440Hz なら、ギターも440、442なら442という具合に完全に一致させてください。
これが狂ってると、どこを押さえても音が合わないという事態になって(笑) 「どうなってんだ?」 となりますからねw
まあ、きっちり半音刻みで狂ってるなら合うことは合うのですけどね(笑)
僕も以前は「1本弦でギターを弾くことの意味」がまったく理解できなかった
この著名ギタリストが語った「1本弦による練習」・・これを読んだ当時はまったく意味が分かりませんでした(泣)
「こんなことをやって何の意味がある?」
これはつまり「音を選ぶ行為」っていうのを自分の耳で感じ取りながら、つまりは音感を鍛えることにつながっていくのですよ。
コードネームだけを意識すれば、ギターのネックといいますかフレットボードにおいて、一般的なコードフォームに沿って音を選んでいくことはた易いです。
しかし、それではパターン化しやすく、発想の拡がりというか、もしくは「なんらかの気付き」という点において、いわゆる「閉じた状態」になってしまう。
こういう状態から逃れるために、通常とは違う立ち位置からギター演奏について考えてみようというお話でしたw
最後に、こういったパターン化したフィンガリングを「指癖」などというのですが、使う弦を1本に限定すると、そういった指癖から解放される代わりに、「どの音を選ぶか?」という意味で、意識を音に集中させる必要が出てきます。
そして素早いポジション移動も要求されます。なのでそういう意味でも練習効果があると僕自身は感じます。
ついでに言えば・・・
ポジション移動が多いということは、つまりは同じコードネームにおいて、「使えるコードフォーム」をたくさん作れることにつながっていきます。
たとえば Aマイナー というコード。これは一般的には 5フレット のポジション位置を想像されるプレイヤーが多いと思います。
これは ルート音 を6弦に想定しているからそうなるのであって、これを4弦をルートと想定すれば 7フレット がポジション位置となります。
ちなみに ギターにおいてポジションというのは、人差し指を置く位置によって決まってきます。なので先の Aマイナーコード において、たとえば小指を6弦5フレットにおいてAマイナーコードを弾くとすると、ポジションとしては 2フレット ということになるのが理解できると思います。
以上、述べたことはあくまでも僕自身の解釈ですのであしからず(笑)