イチボが固い? それは切り方が間違ってるか、部位に対する理解がないかのどちらかです。

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このページは牛肉のイチボという部位に関する記事です。イチボというのは牛もも肉の一部で、希少な部位となります。

一口にイチボといってもその肉繊維の構造は複雑である

まず知ってほしいことがひとつ。それは牛のカッティングについてです。

流通の基本単位は半頭です。一頭ではありません。

半頭っていうのは、文字通り牛を縦割りに真っ二つにしたものを指します。これは電動のこぎりで脊髄を本当にまっすぐに割った姿。これが基本で、ある程度冷却されたのちに冷蔵陸送で加工場に運ばれます。

んで、この姿のまま加工場に運び込まれて、もっと細かく分割されていきます。その時に 脱骨(だっこつ)つまり骨を外されて部位別に分けられるんです。

この分け方っていうのは全国的に決めごとがありまして、16分割ってのが基本です。一応、オーダーカット ってのがありまして、特別に通常はやらないカットをするケースもあるのですが、基本は16ですね。

肋骨のどこにナイフを入れるとか、そういうのは全部決まってます。変な割り方をすると通常の販売ルートには載せられなくなってしまうからです。

んで、イチボも16分割の一部として、ラムイチあるいはランイチという名前の部位として末端の小売業者のもとにやってきます。

なんでいくつも名前があるのかというと、イチボ単体ではこの段階では小割しないからなんです。だからランプとイチボをまとめて省略して呼ぶようになった。

もも肉の骨を抜く前の姿は別名 とっくり と言われ、四つの部位が集まってできています。内もも、外もも、マル、それからラムイチです。ランプとイチボっていうのはくっついていて、卸段階においては通常では小割しません。

イチボが固いと言われる原因

それはもも肉のカッティングにあります。通常の16分割カットにおいてはランプとイチボはくっついていると書きましたが、じつはイチボの一部は外モモにもつながっています。

筋などで明確に割れているわけではなくて、筋肉がもろにつながっているんですね。それをナイフで恣意的に 「このあたり」ってな具合でカットします。適当カットしているわけではないんですけど、特に明確なカット線っていうのはありません。

具体的には外モモの 中にく(ナカニク)という場所につながっているのですが、これが繊維が荒くて、固いところなのですね。

モモ肉の中でも、外モモ っていうのは繊維が比較的荒くて固い、そして風味もあまりよくないです。だから評価も低い部位です。

イチボの一部、外モモと分割された付近の肉質も外モモとあまり変わらないので、それが、「イチボは固い」と言われる原因じゃないかと思います。

上の写真は筋引き後の通常カットのイチボを真上から見た図です。

この例でいうと写真に向かって左上の肉厚のある部分が外モモとの境界にあたります。これを肉厚のある部分の正面から見ると以下のようになります。

上の写真の右側と左側、違いが分かりますか?

一応 サシ(白く見える脂肪) が入っていますけど、右側は線状で、左に行くほどきれいな マーブリング(サシ)に変化しているのが分かると思います。

肉は繊維に逆らって切るのが基本なんですが、この脂肪の流れ方を見るだけでも繊維が流れているのが分かります。

この断面の切り方では右側の方はやや硬く感じるのではないかと思います。

もしも僕がこのブロックをさばくとしたら、右側の部分を縦に少し切り落として、残った部分をイチボとしてステーキを取ります。

切り落とした部分は繊維に逆らうように薄くスライスするでしょう。その方が柔らかく、また見た目においてもきれいなサシがでます。

イチボのまとめ

精肉業者がイチボとして仕入れても、本当のイチボ、柔らくておいしい部位として使えるとこっていうのは少ないです。

表面脂肪もすごく多くて歩留まりも悪い。おまけに外モモからつながった固い部分もくっついているので切り方を間違えるととんでもなくマズイ肉になってしまいます。

イチボは肉厚の外モモとの境界付近ではなくって、真ん中付近から先っちょの方が旨いんですよ。

 

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