
あのーインプロヴィゼーションってなんですか?

ああ、それね。即興演奏のことだよ。
知らない曲でも、和声進行を聴きながら好きなようにメロディを創って演奏することよ。

え? 曲が分からないんじゃ何にも弾けないんじゃないの?

場合というかケースにもよるけど、耳で周りのサウンドを聴きながら、それに合うように何か弾くのが基本だと思うけどな。
最低限の決まり、たとえばコード進行なんかは事前に決める必要があるかもしれないね。
だけど、その場の雰囲気でどんどん変化していくパターンもあるよ。

どうすれば、そんな即興でギターを弾くことができるんですか?

それは経験とその蓄積よ。
経験値とでもいえるわ。

たくさんの楽曲、それもあらゆるジャンルの音楽を聴き込むってことかな?

そうね、いろいろな音楽を知るってことは不利になることはないと思うな。
いろんな雰囲気、ムード、リズム、それに理論的なことを知ってることも助けにはなる。

じゃあコピーが最強の練習になるってことかな?

それは考え方次第なところがあるわ。
たしかにだれだれ風の弾き方というように弾けば形にはなる。だけどモノマネだけじゃつまらないと思わない?

コピーはモノマネがゴールじゃないよ。
いかにそこから価値あるものを得るか? エッセンスみたいなものを吸収することが重要なんじゃないかと思うね。

オレ、どうすればいいのか分かんなくなってきたよ。

大丈夫。クラシカルな考え方だけど、事前にどういうふうにアドリブすればいいか考える方法があるよ。

え? 事前にアドリブを考えるって、それアドリブじゃないやん?

そうね、純粋なアドリブではないけれど、アドリブにいたる練習段階の方法ってところかしら。
ポピュラー音楽でいうアドリブって、じつは事前に考えられてることが多いのも事実なんだよ。
一から十まで考えられたものや、重要なポイントだけ事前作曲されたものとか、いろいろあるんだよ。

そうなんだ。事前に考えるんだったら作曲と同じだし、僕にもできるかもしれない。
和声理論を知らなくてもギターでアドリブができる!! まずはコードを分解しよう!

コードを分解するってどういうこと?
コードネームとして示された音を、バラバラに弾くことだよ。それにはコードネームの読み方をまず知っていなくちゃならない。
ギター初心者はコードというものをコードフォームで覚えようとするけど、本当に大事なのは コードの構成音をきちっと把握することです。
コードの意味、それからコードの構成音が分かれば自分でコードフォームを作ることは難しくない。
各コード別のコード分解音をつなげる
さて、コード分解の意味が分かったところで、次のステップにいきます。
楽曲は通常いくつかのコードの組み合わせでできています。なので登場するコードすべてについて、それぞれコード分解します。
どういったつなぎ方が良いのか、いろいろ考え方はあるのですが、アドリブですので自分の感性で自由にやればいいと思います。
ただスムーズな流れを考えると、あまり大きな音の跳躍はぜずに、なるべく近い音へつなげるようにした方がなめらかに聴こえるでしょうね。
この段階ではコードトーンしか使わないので、大きなコードサウンドの流れの変化を感じながら音をつないでみましょう。
音の順列を変えたり、リズムを変えることによってもフレーズにバリエーションが生まれてきます。
慣れてきたらコードトーンにはない音も使ってみましょう。理論的なことは一切考えなくていいです。自分の音感だけを頼りに使える音、使えない音というのを判断してみましょう。
また使えない音についても、「どういう状況だと使えるようになるのか?」 「どう使えば自然に聴こえるようになるのか?」 といったことも考えてみるのも良いことです。
コード分解はとても実践的なアドリブへのアプローチだ!!
以上、基礎的なことを中心に書いてきました。
アドリブ演奏にはいろいろなテクニック、考え方があります。モチーフの発展のさせ方とか、コードスケールにおけるテンションの扱い、アプローチノートについてとか、リズムの変形とか、本当にたくさんのアイデアがあります。
今回はサウンドの最も基本となるコードトーンを滑らかにつなぐことによって、メロディックなラインをつくる基本的なアイデアについて書いたつもりです。
パッとコードネームの流れを見て、何のキーかさっぱり分からないような複雑なコード進行においても、コード分解を行うことによって、元々のメロディの持つ雰囲気の変化や、そのメロディのバックに流れる和声の流れの変化を、指板上でとりあえずは単音の流れ、いわゆるシングルノートで表現することができるようになります。
我々ギタリストが普段から練習しているのは、こういった知らない曲でもすぐに聴いただけで対応できる能力を獲得して、より良いメロディラインを弾けるようにするためです。
要はメロディのライティング能力を高めることが目的なのです。それが即興であれ計算されたものでもね。
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