競馬予測AIに挑戦する前に考えたこと:データが多い市場ほど、本当に勝ちやすいのか?

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競馬予測AIに挑戦してみたい。

そう考えた理由は、単純に競馬人口が多いからです。競馬は歴史も長く、ファンも多く、データも大量に蓄積されています。騎手、血統、競馬場、馬場状態、距離、枠順、人気、オッズ、前走成績、馬体重、調教師、展開予想など、考えられる材料はいくらでもあります。

これだけ長く続いている世界なら、アノマリーも相当たまっているはずです。データ的にも、かなり出尽くしているのではないか。そう考えると、AI予測の題材としてはかなり魅力的に見えます。

しかし、ここで一度立ち止まる必要があります。

データが多いことは、勝ちやすいことを意味するのでしょうか。それとも、むしろ研究され尽くしていて、普通の発想では勝ちにくいことを意味するのでしょうか。

競馬はAI予測の題材として魅力的だ

競馬がAI予測の対象として魅力的なのは間違いありません。

まず、参加者が多い。市場が大きい。歴史が長い。そして何より、データが多い。これは、予測モデルを作る側から見ると大きなメリットです。

JRA公式サイトでは、出馬表、オッズ、レース結果、開催日程、払戻金、騎手・調教師データ、競走馬検索などを確認できます。競馬予測AIを考えるなら、まずはJRA公式サイトで、どのような情報が公開されているのかを把握するところから始めるのが自然です。

totoや競艇と比べても、競馬は変数が非常に多い世界です。馬そのものの能力だけでなく、騎手、厩舎、血統、馬場、距離、展開、枠順、斤量、ローテーション、馬体重、人気、オッズ変動など、結果に関わりそうな要素が大量にあります。

AIや機械学習と相性がよさそうに見えるのも当然です。大量の過去データを使えば、人間が見落としている傾向を拾えるのではないか。そう考えたくなります。

クルー
クルー

競馬って、データ分析の対象としてはかなり面白そうですよね。歴史も長いし、情報量も多いし。

オーディン
オーディン

魅力的なのは確かです。ただし、データが多いことと、勝ちやすいことは別問題です。

データが多い市場ほど、本当に勝ちやすいのか

ここが重要です。

競馬はデータが多い。人口も多い。歴史もある。アノマリーも語り尽くされている。これらは一見すると有利な条件に見えます。

しかし逆に言えば、研究している人も多いということです。

予想家も多い。データ分析をしている人も多い。競馬ソフトも多い。有料予想も多い。長年、さまざまな方法で攻略しようとされてきた市場です。

たとえば、競馬データを本格的に扱うサービスとしてJRA-VAN DataLab.があります。こうしたサービスが存在していること自体、競馬がすでにデータ分析の対象として大きく発展していることを示しています。

つまり、誰でも気づくようなアノマリーは、すでにオッズに織り込まれている可能性があります。

「この騎手はこの競馬場で強い」「この枠は有利」「この条件の血統が走る」といった情報は、すでに多くの人が見ています。多くの人が同じ情報を見て買えば、その分オッズは下がります。

すると、的中率は上がっても、回収率は上がらないということが起こります。

AIで見るべきなのは、的中率より回収率

競馬予測AIを作るときに、最初に気をつけるべきなのは「当たるAI」を目指しすぎないことです。

競馬では、一番人気を中心に買えば、それなりに当たります。しかし、それだけで長期的に利益が出るとは限りません。

重要なのは、的中率ではなく回収率です。

どれだけ当たったかではなく、いくら投資して、いくら戻ってきたか。最終的にプラスになったのか。連敗に耐えられるのか。ドローダウンはどれくらいか。ここを見ないと、予測モデルとしては意味がありません。

これは、以前書いたH2Oを使った予測モデルの検証に関する記事にもつながる話です。モデル上の評価が良く見えても、それが未来の予測や実際の回収率に直結するとは限りません。

AIが「この馬が来そう」と言うだけでは不十分です。必要なのは、その馬のオッズに対して買う価値があるかどうかです。

つまり競馬AIで本当に検証すべきなのは、単なる勝ち馬予測ではありません。

オッズに対して過小評価されている馬を見つけられるか。人気が過剰になっている馬を避けられるか。券種ごとに期待値の差があるか。条件別に回収率の歪みが残っているか。

ここを見なければ、AIを使っても「よく当たるけど儲からない予想」になってしまいます。

アノマリーは宝の山か、それとも罠か

競馬には多くのアノマリーがあります。

枠順、季節、馬場状態、距離、騎手、血統、ローテーション、前走条件、人気の盲点。調べ始めれば、いくらでも法則らしきものが見つかります。

ただし、ここにも危険があります。

データが多い世界では、偶然の偏りも大量に見つかります。過去データを細かく切れば切るほど、「それっぽい法則」は見つかります。

しかし、それが未来でも通用するとは限りません。

過去には効いていたように見える。検証期間を変えると消える。条件を少し変えると崩れる。実際に買うと回収率が落ちる。競馬AIでは、こうした過学習の危険が非常に大きいと思います。

クルー
クルー

アノマリーが多いなら、AIで拾えば勝てそうにも思えますけどね。

オーディン
オーディン

拾える可能性はあります。ただし、拾ったものが本物か、ただの偶然かを検証する仕組みが先に必要です。

まず作るべきは予測AIではなく、検証の土台

だから、競馬予測に挑戦するなら、最初から本格的なAIモデルを作るべきではないと考えています。

まず必要なのは、データを蓄積することです。

レース情報、出走馬情報、人気、オッズ、結果、払戻、馬場状態、距離、競馬場、馬体重、騎手、調教師など、後から検証できる形で保存する必要があります。

中央競馬だけでなく、地方競馬情報サイト keiba.go.jpでも、開催日程、出馬表、レース結果、競馬場データなどを確認できます。最初は、どの情報が無料で見られて、どこから先が有料データや手動確認になるのかを整理するだけでも意味があります。

そして、そのデータを使って、まずは単純な基準と比較します。

一番人気を買った場合。単勝オッズ順で買った場合。複勝で買った場合。ワイドで買った場合。人気馬を避けた場合。条件別に買った場合。

こうした基準モデルに勝てないなら、複雑なAIモデルを作っても意味がありません。

AIを使う前に、「そもそもどこに歪みがありそうか」を調べる。これが最初の段階です。

馬券を買う前に、研究プロジェクトとして始める

競馬AIに挑戦する価値はあると思います。

ただし、それは「競馬なら勝てそうだから」ではありません。

競馬は市場が大きく、データが豊富で、予測・検証・回収率・過学習・オッズの歪みといったテーマを学ぶには非常に良い題材だからです。

これは、CLEWで扱ってきた予測AIや自動化の流れともつながります。

以前の記事AIで稼ぐために、まず何から始めればいいのか分からなかった話でも書いたように、最初から稼げる正解を探すより、自分が続けられる実験を作ることが大事だと思っています。

totoや競艇と同じように、最初にやるべきなのは勝負ではありません。まずはデータを集める。検証する。基準モデルを作る。勝てると決めつけず、数字で見る。

その上で、もし本当に回収率の歪みが見つかるなら、次の段階に進めばいい。

逆に、見つからないなら、それも重要な結果です。少なくとも、感覚や期待だけで馬券を買うよりは価値があります。

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外部参考リンク

今回の結論

競馬予測AIには挑戦する価値があります。

ただし、いきなり馬券を買うのではなく、まずは研究・検証プロジェクトとして始めるべきです。

データが多い市場は魅力的です。しかし、データが多い市場ほど、すでに多くの人が研究している可能性も高い。アノマリーが多いから勝てるのではなく、アノマリーが本当に未来でも通用するかを検証する必要があります。

競馬AIで最初に見るべきものは、的中率ではなく回収率です。

そして、最初に作るべきものは、派手な予測モデルではありません。データ蓄積と検証の土台です。

勝てると信じる前に、勝てる余地があるかを調べる。

競馬予測AIへの挑戦は、そこから始めるのがよいと思っています。

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