黒毛和牛はそもそも脂身が多い よく肥えた和牛は肉質も良いがトリミング作業で捨てる脂肪の量もハンパないくらい多いのです
今回は「ふるさと納税」の、返礼品についての話題。
まずはネタ元の記事を。
写真を見ると・・・んーこれはすごいですねぇ! ほぼ真っ白な脂ばっかり・・
黒毛和牛には間違いないようですが、果たしてこれはどの部位なんでしょうか?
問題の写真の部位はおそらく「外バラの一部」ではないかと思う
僕がパッと見て思ったのは・・・
これは売り方、見せ方がヘタということ。(笑) 部位の特徴について詳しく書くと以下のようになります。
問題の部位は外バラ、これは間違いないです。牛肉の外バラという部位は、皮下脂肪も厚く、歩留まりが非常に悪いパーツなのですが、霜降りになっていて、すっごくおいしいところと、写真のように脂身ばかりが目立って、ちょっと売りにくい場所がいっしょになっている部位です。
これは混在を意味しているのではなくて、端の方からスライスしていくと、次第に脂身が集中する場所から、霜降りでおいしい場所へと変化していくのですよ。
つまり、端っこばっかりをパックすると、記事中にあるような感じのスライスになるというわけ。
風味のほうは確かに良いのだけれど、どうしても脂身が多くなってしまうのですね。
んで、ちゃんとバランスを考えて仕事をする職人さんは、こういった偏りが生じないように全体が適度に混ざるようにパックを作るのですよ。
牛肉っていうのは、全体が均一の肉質ではなく、部位によって全く違います。
また、同じ部位でも肉質が変化していくので、商品化にあたってはそれを見極める目利きも必要となるのです。
悪い方に考えると・・・
「使い物になんねーところだから、返礼品として売っちまえ!」
というように考えたのかもしれませんね(笑)
でも、会社の看板背負って仕事しているわけですから、そんないい加減なことやっちゃダメです。
ちなみに僕が肉をパックする人だったらどうするか?
もしも僕が肉をさばいてパックする人だったら次のようにやります。
答えを先に書くと・・・
合わせ切り をやりますね。

合わせ切りってなんですか?
はい、文字通り、お肉を重ね合わせて切るんです。つまり、脂身のきついバラと、もうちょっと赤身の多いパーツを合わせていっしょにスライスするんです。
こうすることでお肉の偏りが緩和されて、見た目も良いパックが出来上がります。
めちゃくちゃ一般的な手法であり、たいていのお肉販売店ではこのテクニックをつかって原価調整をします。
単体では高い原価のお肉でも、安めのモノをあわせて切れば、少し安く提供できるようになるし、その逆もあります。
この手法には原価調整の意味以外にも、「風味を整える」という意味もあります。
つまりランクの低い牛肉に、黒毛和牛の脂肪分を忍ばせれば、これだけで風味が良くなるのですよ。