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肉のさばき方にイチャモンをつけてみる。ちょっと説明が足りてないぜ?

      2016/01/18

肉のハナマサに関する記事が人気だが・・いろいろ説明を付け足してみた。

元記事はこちら

 

とにかくとにかく”デカい肉”を買え! 元肉屋が教える「肉のハナマサ」徹底攻略法 – みんなのごはん

肉に関してはちょっとうるさいので、いろいろ気になる点を書き足してみたいと思います。

元記事に書いてあることはほぼ正解です。・・が、細かい点について以下に解説していきますね。

まずは肉の購入編から

”でかい肉になるほどグラムあたりの単価が安くなる。”

このからくりというか理由について書いてみます。いちばん単純な理由は ”手間をかけてない” という理由です。右から左に流すだけ。掛かってる費用は冷蔵保存する設備と電気代、それに場所、建物などの費用だけです。これらは年間を通すとかなりの費用になりますが、売れても売れなくても掛かる費用に大きな変動はありません。

つまり商品の回転が多くなればなるほど(売れれば売れるほど)1商品あたりのコストが下がる計算になりますね。

写真の3番目

はなまさ3

 

これはおそらく ”ラムイチ” または ”らんいち” といわれる部位ではないかと思われます。業界においてはボックスミートと呼ばれる形態です。

日本における牛肉のバラシ方・・カッティング法(スペックともいう)は一般的には15分割です。以下に書きだしてみます。

肩ロース

前バラ

ウデ

トンビ

リブロース

ロース

ヒレ

中バラ

外バラ

ラムイチ

マル

内モモ

外モモ

前チマキ

トモチマキ

牛肉というのは基本的にセット買いです。半頭セットというのは牛一頭の半分のこと。

牛を縦に真っ二つに割るんですよ。アタマだけちょんぎって血液を放出させ、皮をはいで内臓を取り出して一定時間冷却する。そしてそれを脊髄もろとも縦半分に割るんです。これが枝肉とよばれる状態です。

小さくなるほど単価が高くなる理由 その2

牛肉は食べられる状態・・つまり精肉になるまでにはかなりの量をトリミングしなければなりません。削り取れば取るほど量が少なくなり、したがってグラムあたりの原価も高くなります。

この作業を “整形” といいますが、同じ部位でも整形の度合いによって単価が変わるのが常識。つまりきれいに整形されたものはより単価が高くなります。

安く買ったつもりでも、精肉にしたときに、きれいに整形されたものと結局は同じ単価となるか、あるいは逆に高くつく可能性もあるということです。このあたりがよく分かってないと良いバイヤーではないですね。バイヤー=消費者と考えてみればいい。

ブロック肉はたしかに安いかもしれませんが、どんな整形がなされているか、よくみてから買わないといけません。これを歩留まり率といいます。

牛肉のグレードについて(格付け)

記事では一切触れられていませんが、牛肉にはグレードがあります。一般には A4 A5 といった呼称がよく知られていると思います。

しかしこれは販売時に表示しているお店は少ないと思います。表示義務もありませんからね。Aクラスなら表示しても値打ちがありますが、安いグレードなどは表示してもメリットなどありませんからなおさら表示などしません。

ちなみにAクラスは和牛にしか付けられません。

牛肉の値段はグレードに比例します。これは間違いないです。もしもグレードが分からない場合、あるいは現物をみても良く分からない場合どうやって判断するか?

まずは表示されている情報をくまなく観察してみてください。

一般的に言えることは、穀物で長く飼育されている牛は品質が良いです。それだけ高品質のエサを与えられているからです。これをグレインフェッドといいます。ロングとショートがありますが、ロングの方がより長期間穀物肥育されているという意味です。いっぽう草ばかり食べていた牛というのは、臭みがあり肉質もあまり良くないです。これはグラスフェッドと呼ばれます。

ビール牛というのを聞いたことがあるでしょうか?霜降りにするために高カロリーのエサを与えるためにしていたことなんですよ。エサに穀物を与えるのはこういう理由があるからです。肉質を決めるのには血統も重要な要素なんですが、育てられた環境も知っていたほうがいいです。

ちなみに販売者は固体識別番号というのを必ず表示しなければなりませんので、ネットでどんな環境にいた牛なのかは即ネットで調べることができます。

 

牛の個体識別情報検索サービス牛の個体識別情報検索サービス

牛肉の部位をよく観察しましょう

ひとくちに牛肉といってもたくさんの部位があります。正直いって一般の消費者にはよくわからないのではないかと思いますね。

モモ肉でいうならいちばん避けたほうが良いと思う部位は外モモです。グレードにもよりますが肉質は堅いです。ステーキには絶対しない部位です。

どんなに繊維に対して垂直に切り落としても、元々の繊維が荒かったらやっぱり堅いんですよ。こういう部位は煮込みか、あるいはうすーくスライスして調理すべきです。

あと内モモも。良さそうに見えますがやっぱり堅めの肉質です。オススメは・・

ラムイチ と マル です。

おいしく食べるにはもっと細かく分割する必要がありますが、モモのなかではステーキも取れる部位です。元記事においてスジ引きをしている部位はおそらくマルではないかと思います。

国産牛肉のグレードについてちょっと記しておきます。グレードは下からです。

1、経産牛

2、ホルヌキ

3、交雑牛B2~

4、和牛A3~

そこそこのものを選ぶのであれば3番めの交雑種あたりが手頃なのではないでしょうか。ホルヌキ・・ホルスタインのオスを去勢したものも広く流通しているはずですが、肉質がよくありませんのでお勧めはしません。

やっぱり和牛と交配させた交雑種が ”おいしく食べられる最低ランク” のような気がしますね。

肉のさばき方

じつは肉のさばき方ってのは、お店によってまちまちなんですねー。基本はあるんだけど、売り方によって変えているっていうのが実情なんじゃないかと思います。

元記事にある ”繊維方向に逆らって切る” っていうのは基本。これは間違いないです。しかし肉っていうのは複雑に構成されていますから一筋縄ではいかないんですよ。ここが腕の見せ所ってのは本当の話で、利益と柔らかさ、うまさってのを両立させなければなりません。

たしかに ”うまい部位” だけを取り分けることは簡単なんです。でも余ってしまった比較的かたい部位などをどうやってさばくか?

販売側はそういうところも考えなきゃならない。そうしないと儲けがまったく出ないんです。カレーなどの煮込み角切りが大量に売れるならそれでもいいけど、実際にはそんなに売れるはずがありません。ではどうするか?

そこで柔らかさを少し妥協して上質な部位と合わせて切るとか、(そのかわり単価を少し落したり)、あるいは完全に分けて単価に差を付けるとか・・

まあいろいろ工夫しているはずです。元記事にあるようにさばけるのは ”売る” という行いを度外視したやり方ですね。

ちなみにブタ肩ロースではずしているのは牛肩ロースでいうところの ”ざぶとん” あるいは ”クラシタ” とよばれる部位ですね。

肩ロースという部位は本当に面倒な部位で、いくつにも分割できます。牛肉ではおよそ25キログラムはある大きな部位です。小割りすると ”使えない部位” ・・・ かたくて油だらけのパーツがたくさんできる部位なんです。なので一般的には大きいまんまスライスするのがいちばん歩留まりもよく、しゃぶしゃぶ、すきやき などでおいしく食べられます。

ブタ肩ロースは、そのまま豚カツ用にカットして使うのが一般的ですね。あとチャーシュー用とか。ネック側は次第に堅くなりますからうすく切り落として小間切れにするかミンチ材などにしてしまいます。

ブタバラについては、通常あんなカットはしませんね。豚肉全般について言えることなんですが、牛肉に比べて肉質は柔らかいです。肉の目なりについては牛肉ほど神経質にはならなくていいと思います。うすくスライスするならなおさら。

だいたいの目なりがそろっていればOKですよ。角煮などにするのであればまったく意識しなくても大丈夫です。煮込めばトロトロのぽろぽろになりますから。


今日はお肉についていろいろ書いてみました。

しばらくブログお休みしてました。いろいろ考えちゃってね。。

しかし、なんであんな肉の記事にブックマークがたくさん付くんでしょうかね?

ではでは。


追記です。

たまたま YOUTUBE  で肉の捌き方っていうか、いろいろカットしてるの見る機会がありまして、いくつか見てみました。

参考になるっていえば なるんですけど・・

プロの現場ではお肉の捌き方は目的や牛肉のグレードによって変わる

あの動画のまま、参考にして覚えても現場では使い物にはなりませんねえ。

基本的な説明や作業の仕方に間違いはほぼありません。しかし牛肉に関しては ”モノの良さ” ってのがパッと見て分からなけりゃ話になりません。

見ただけでその牛肉のグレードが分かるのはもちろんのこと、その味、硬さ、食感 などがすぐに分からなけりゃ商品化できないんです。

それには ある程度 時間をかけて観察することが必要なんですね。

それに いろんなグレードの牛肉で、いろいろなカッティングを試してみて、そして実際に食べて、味わって・・ということを繰り返さないと。。おそらく分からない。

ホルスタイン種・・俗にホルヌキといいますが、この手の牛でステーキなど取れない部位でも 黒毛和牛 A4クラスなら、とても良いステーキが取れたりするわけです。

安いグレードじゃ使い物にならない部位も、和牛ならもっと付加価値をつけた商材作りができるのです。

料理が趣味で良いお肉が欲しいなら・・

やっぱり食肉専門店でいろいろ質問して買うことです。

お店選びのポイントは・・

1、基本的に黒毛和牛を扱ってるお店を選ぶこと。

2、オーダーカットに応じてくれるお店

3、対面販売をしていてカット現場を見せてくれるお店

こんなとこですね。

あとお客さんが望んでいる商品のイメージをよく聞き取ってくれるお店。

「こんなんで、こんなのが欲しい」 ということをよく聞いてくれて、逆に店主からあなたに質問してくれたりすればなお良いです。

まあ、お店の構造的なことや、衛生面での制約もあるので 3番目のカット現場を見せてくれるお店は少ないかもしれませんが、頼めば中に入れてくれることもあります。

オーダーカットに関しては、断られることがあるかもしれません。これにはいろいろな理由がありまして、基本的には ”良い部位を取り分けることと、残った部位のその後の処理” との兼ね合いから判断することになると思います。

1番目の和牛を扱ってるっていうのは絶対条件かもしれないですねー。なぜなら、店主は ”和牛が最高の味を持ってる” っていうことをよく知ってるから。つまり ”牛肉のピンきり” を知っているっていうことです。

たとえば スーパーマーケットの安売り牛肉ばっかり扱ってる職人と、安いものから高級和牛まで扱ってる職人のどちらから牛肉の説明を聞きたいですか?

答えは簡単、ピンきりを知ってる方です。

安い和牛も存在するから注意が必要

じつは黒毛和牛といってもピンきりで、安い和牛ってのも存在します。

それは 経産牛 です。和牛も子牛・・つまり素牛(もとうし)これから でっかく育てる牛を繁殖させているのですが、それの母牛ですね。これが老齢化してくると肉牛として処分するんです。

これが ”和牛経産” というグレードです。

価格は通常よりもずっと安く入荷できます。

あんまり感心できない話ですが、これを通常の黒毛和牛として販売するわけです。違法ではありません。あんまり見かけませんけど確実に市場に流通していることは確かです。

和牛経産の特徴としては以下のようなものがあります。

1、空気に触れて発色し始めても肉色が黒っぽい

2、同じ部位でおなじ切り方なのに硬い

3、乳臭さが少し強く感じる

やはり 老齢化 した牛肉は硬くて血の色が濁ってくるようです。比較的若い牛肉は肉色がとても鮮やかなので、並べてみると非常によくわかります。

まとめ

どの部位をどんなカッティングにするか? っていうのは肉のグレードによって変わります。一概に決まってるわけではありません。

牛肉が好きな方で料理も好きなら、カットの仕方とお肉のグレードの関係も研究してみてください。

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